カエルのポチャと水のない井戸
むかしむかし、とある森の中に、一匹のバカなカエルがいました。名前はポチャ。ポチャはとても真面目で、誰よりも勤勉でした。しかし、ちょっと騙されやすい素直な性格でした。
ある日、ポチャは、近所で評判の賢いカエルおばあに会いました。おばあは古い井戸を指さして、
「ここに住めば、毎日おいしい水が飲めるぞ!」
と言いました。
ポチャは、そうかと思い、井戸のそばに住みつくことにしました。しかし、井戸を覗いてみると、水の音がしませんでした。
「変だな? でも、井戸なんだから水があるに決まってるんだけど!」
ポチャはそう信じて、さびた桶をロープで結び、井戸の中へと下ろしました。そして、しばらく待ってから引き上げてみると……桶は空っぽ。
「おかしいな。たぶん、もっと深く下ろさなきゃ!」
ポチャはまた桶を下ろし、今度は長い時間待ってみました。でも、引き上げた桶には、やはり何も入っていません。
「これはきっと、運が悪いだけだ!」
ポチャは諦めず、朝も昼も夜も、ひたすら桶を下ろしては引き上げ続けました。疲れても、手が痛くなっても、「いつか必ず水が汲めるはずだ!」と信じてやめませんでした。
やがて、森の動物たちは心配し始めました。
リス:「ポチャ、その井戸にはもう何年も水がないんだよ。」
熊:「他の池へ行けば、すぐにおいしい水が飲めるよ。」
でも、ポチャは首を振りました。
「みんなは何も分かってない! カエルおばあはそういったんだ!」
動物たちは何も言えず、ただ静かに去っていきました。
そしてある日、ポチャはとうとう力尽き、井戸のそばでぺたりと座り込みました。喉はカラカラ、お腹はペコペコ。でも、まだ井戸を見つめています。
「もうすぐ……もうすぐ、きっと水が汲めるはず……」
そのまま、ポチャは動かなくなりました。
次の日、森に雨が降りました。長い長い日照りの後の、恵みの雨でした。すべての池や川はたっぷりの水で満たされ、動物たちは喜んで水を飲みました。
でも、水のない井戸のそばには、誰もいませんでした。
カエルのおばあは、まぁ!あれは冗談のつもりだったのに…
おしまい
教訓:「努力」と「思い込み」は違うのだと、誰かが気づけたなら、それは幸運なことだ。
■ ワーク
・自分がリスや熊ならどうポチャに言葉をかけるか?
・おばあのことをどう思うか?
・なぜおばあはそんなことを言ったと思うか?
0 件のコメント:
コメントを投稿