ある夜、ベッドに横たわったそのとき
ふと、母の願いが耳元に降りてきた。
それは言葉ではなく、祈りのような音だった。
母:
娘は、あれが私に頼ってきた最後でした。
10万円。21歳。アメリカ。
あれが、母としての私の最後の務めでした。
娘は、ほんとうに欲しがらない子だった。
…いや、違う。欲しがれない子だったのです。
他の子どもたちの半分は、彼女が育てていたようなものです。
私は、いい母だったでしょうか。
たぶん、そうじゃなかった。
でも、あなたは、私が撒いた種。
あなたの中にある愛を、
私は知っています。誰よりも。
あの時、
私は3人の幼子を抱えて
ひとりで立ち尽くしていた。
あれが、私にできた精いっぱいだったのです。
今、あなたの歩みに、私は驚いています。
あなたの強さに、感動しています。
あなたの母であったことは、
私の人生の誇りです。
生まれてきてくれて、ありがとう。
娘:
わかったわ、お母さん。
私は、あなたの娘で、それでいい。
もう怒ってないし、恨んでもいない。
でも…
愛がこのような形でしか交わせなかったという
その構造は否定できないわ。
私は、
それを終わらせるために、生まれてきたの。
だからこそ、もうすっかり幼子のように安心してください。
お母さん、あなたはよく頑張ったんだわ。
あなたは、もう赦されています。
あなたが撒いた種は芽を出し、日の光を浴びて成長し、
花を咲かせ、そして散っていくでしょう。
それが生きとし生けるもののちから。
私はあなたの子供でもあり、そして神の子でもあるのです。