2025年2月19日水曜日

カエルのポチャと水のない井戸

 カエルのポチャと水のない井戸  

むかしむかし、とある森の中に、一匹のバカなカエルがいました。名前はポチャ。ポチャはとても真面目で、誰よりも勤勉でした。しかし、ちょっと騙されやすい素直な性格でした。  

ある日、ポチャは、近所で評判の賢いカエルおばあに会いました。おばあは古い井戸を指さして、

「ここに住めば、毎日おいしい水が飲めるぞ!」  

と言いました。

ポチャは、そうかと思い、井戸のそばに住みつくことにしました。しかし、井戸を覗いてみると、水の音がしませんでした。  

「変だな? でも、井戸なんだから水があるに決まってるんだけど!」  

ポチャはそう信じて、さびた桶をロープで結び、井戸の中へと下ろしました。そして、しばらく待ってから引き上げてみると……桶は空っぽ。  

「おかしいな。たぶん、もっと深く下ろさなきゃ!」  

ポチャはまた桶を下ろし、今度は長い時間待ってみました。でも、引き上げた桶には、やはり何も入っていません。  

「これはきっと、運が悪いだけだ!」  

ポチャは諦めず、朝も昼も夜も、ひたすら桶を下ろしては引き上げ続けました。疲れても、手が痛くなっても、「いつか必ず水が汲めるはずだ!」と信じてやめませんでした。  

やがて、森の動物たちは心配し始めました。  

リス:「ポチャ、その井戸にはもう何年も水がないんだよ。」  

熊:「他の池へ行けば、すぐにおいしい水が飲めるよ。」  

でも、ポチャは首を振りました。  

「みんなは何も分かってない! カエルおばあはそういったんだ!」  

動物たちは何も言えず、ただ静かに去っていきました。  

そしてある日、ポチャはとうとう力尽き、井戸のそばでぺたりと座り込みました。喉はカラカラ、お腹はペコペコ。でも、まだ井戸を見つめています。  

「もうすぐ……もうすぐ、きっと水が汲めるはず……」  

そのまま、ポチャは動かなくなりました。  

次の日、森に雨が降りました。長い長い日照りの後の、恵みの雨でした。すべての池や川はたっぷりの水で満たされ、動物たちは喜んで水を飲みました。  

でも、水のない井戸のそばには、誰もいませんでした。

カエルのおばあは、まぁ!あれは冗談のつもりだったのに… 

                             おしまい  


教訓:「努力」と「思い込み」は違うのだと、誰かが気づけたなら、それは幸運なことだ。

■ ワーク

・自分がリスや熊ならどうポチャに言葉をかけるか?

・おばあのことをどう思うか?

・なぜおばあはそんなことを言ったと思うか?

鎖の中の尚太…無力感と支配が繰り返す家族のループ

幼い頃から、尚人(なおと)は家族の平和を守ることが自分の役割だと信じていた。

母は短気で、仕事のストレスを家に持ち帰ることが多かった。尚人はいつもその顔色を伺いながら、できるだけ穏便に日々を過ごそうとしていた。尚人には兄弟がいて、二人はまだ小さく、家の空気を読める年齢ではなかった。

だから尚人は、家のバランスを取るのは自分しかいないと思っていた。

母の機嫌が悪くなりそうなときは、すぐに冗談を言って場を和ませた。母が疲れた顔をしているときは、自分が率先して家の手伝いをした。妹が泣いたら、急いであやして静かにさせた。宿題が終わっていなくても、友達との約束があっても、家の平和を守ることを優先した。

だが、どれだけ努力しても、母のストレスによる不機嫌は止むことはなかった。

ある日、母が帰宅し、母が些細なことで怒鳴り始めた。

「なんでリビングのモノの配置が昨日とおなじなの!掃除していないでしょう!!」

尚人は慌てて謝り、母の機嫌を取ろうとした。

「分かったよ、掃除しておくね」

明るく振る舞う尚人に、一瞬だけ母は目を向けたが、すぐに「分かればいい」と一蹴した。

そのとき、尚人ははじめて気づいた。

リビングのモノの配置が同じだから掃除していないって?よその家は専業主婦がいるけど、それでもリビングのモノの配置は昨日と同じだよ?

自分がどれだけ頑張っても、家の問題は何も変わらないのだと。

母はどれだけ尚人が誠心誠意尽くしても、もっと要求するだけなのだと。

その夜、布団に潜りながら尚人は静かに涙をこぼした。

努力しても報われないのなら、いったいどうすればいいのだろう。母の機嫌を取るために動き続けることに、もう意味はあるのだろうか。

翌朝、いつものように朝食の席に着いた尚人は、いつものように家族の朝食を用意していた。

しかし、冗談も言わず、場を和ませることもせず、ただ黙って自分の食事を取る。周囲のご機嫌取りを辞め、そして、内心、絶対に自分の平和を守ることを誓ったのだった。

母は相変わらず不機嫌そうだった。弟は気まずそうに俯き、妹は状況がよく分からずキョロキョロしていた。

しかし、尚人の心の中には、小さな変化があった。

「これは、自分のせいじゃないんだ。」

家族の問題を解決できなかったとしても、それは尚人の責任ではない。彼はやっと、その事実に気づき始めていた。

「この家は、ママの家でしょ。僕の家じゃない」そう心の中でつぶやく尚人だった。

■ 関連するビリーフ

「報われない努力を強いられること」に強い嫌悪感を持つ背景には、

  • 努力を強制されたが報われなかった経験
  • 家族のために尽くしても状況が変わらなかった経験
  • 理不尽なルールのもとで努力しても認められなかった経験
  • 助けても相手が変わらないという徒労感を味わった経験
  • 「できないこと」を責められ、他人の「できなさ」を許せなくなった経験

■ 改善

努力が適切に報われる環境でなければ、無理を続けても消耗するだけ。

■ アフォリズム

「報われぬ努力を続けることは、水のない井戸に桶を下ろし続けるようなものだ。」

■ 尚人の母の潜在意識

母の現実は、「家族が自分を癒すべきであり、自分が変わる必要はない」という前提から作られたもの。そのため、尚人がどれだけ頑張っても、母の問題は解決しないし、努力は報われない。これは、母自身が抱える「支配しなければ不安」という根本的な問題を、家庭という場で解決しようとした結果生まれた現実なのです。

尚人の母は、幼少期に「自己の感情を健全に表現することが許されなかった子ども」だったと考えられます。

可能性のある幼児期の環境と経験

  1. 感情を抑圧される環境

    • 親から「泣くな」「弱音を吐くな」「男なんだからしっかりしろ」と言われて育った。
    • 怒りや悲しみを表現すると叱られたり、嘲笑されたりしたため、感情を適切に処理できなかった。
  2. 愛情が条件付きだった

    • 「親の期待に応えれば愛されるが、そうでなければ無視される・怒られる」環境で育った。
    • 成績が良い、強く振る舞うなどの「親が望む姿」を演じることでしか認められなかった。
  3. 恐怖支配の家庭

    • 家庭内に暴力的・威圧的な親がいて、幼い頃から「力がある者が支配する」というルールを学んだ。
    • 自分が親に支配される側だったため、大人になったら「支配する側」にならないと生きられないと無意識に考えた。
  4. 無力感の植え付け

    • 自分の意見を言っても否定される、何をしても評価されない経験を重ねた。
    • その結果、「どうせ努力しても意味がない」「でも無力を認めるのは怖い」という矛盾を抱えた。
  5. 自己認識のゆがみ

    • 本当は弱さを抱えているが、それを見せることが「敗北」だと感じる。
    • だからこそ、大人になった今、家庭の中で威圧的に振る舞い、「支配する側」に回ることで自己を保とうとする。

幼児期からのつながり

尚人の母は、幼少期に「自分の感情を素直に表現できず、支配される側の無力感を味わった子ども」だった。
その無力感を打ち消すために、大人になってからは「支配する側」になり、家族をコントロールしようとする。

つまり、母の行動は、幼い頃に満たされなかった「自己肯定感」と「安心感」を、大人になって家庭内で無理やり補おうとする歪んだ試みなのです。

■ 世代間ループ

世代間で繰り返されるループの構造

① 幼少期:父の過去(被支配の立場)

  • 親から感情表現を抑圧され、「強くあるべき」「弱さを見せるな」と育てられる。
  • 「親の期待に応えないと愛されない」という条件付きの愛情を受ける。
  • 親が支配的で、恐怖によって家族をコントロールする環境だった。
  • 自分の努力が報われない経験を重ね、「どうせ何をしても無駄」という無力感を抱える。
  • しかし、支配する側(親)を見て「強くならなければ生き残れない」と学ぶ。

② 大人になり、父親になる(支配する立場へ移行)

  • 自分がかつてされていたように、家庭を支配する側に回る。
  • 感情を適切に処理する方法を学ばなかったため、怒りや威圧で家族をコントロールする。
  • 自分が親にされたことを「これが正しい教育だ」と無意識に再現する。
  • 子ども(尚人)が努力しても認めず、変化を拒む。
  • その結果、尚人の努力は報われず、父のもとで「無力感」を学ぶことになる。

③ 子ども(尚人)が成長し、新たな親になる

  • 幼少期に「努力しても報われない」「親の機嫌を取らないと生きられない」と学ぶ。
  • その影響で、「自分が努力しても意味がないのではないか」「人の期待に応えなければならない」という価値観を持つ。
  • 大人になり、無意識のうちに「支配する側」になるか、「過剰適応」して他者に尽くし続ける立場に回る。
  • その結果、自分の子どもにも同じような「報われない努力」や「感情抑圧」を強いる可能性がある。

④ ループが続く

  • 「努力が報われない」「支配するか、されるかしかない」「感情を抑えなければならない」という価値観が、親から子へと連鎖する。
  • 無力感と支配のパターンが世代間で繰り返される。

ループを断ち切るには?

  • 「報われない努力はしない」と決める(努力が適切に評価される環境を選ぶ)。
  • 「支配しない、されない関係性」を築く(対等な関係性を学ぶ)。
  • 「感情を素直に表現してもよい環境」を作る(自分も他者も大切にする)。
  • 「無力感を手放す」(自分の選択肢と可能性を信じる)。

このループは無意識のうちに続くものですが、**「もう自分の世代で終わりにする」**と決めることで、次の世代には違う未来を渡せる可能性があります。

2025年2月6日木曜日

マディの解説

本文はこちら。https://storytelliingschema.blogspot.com/2025/02/blog-post_3.html

■解説

この物語には、家族関係の複雑さと、それが個人に与える心理的影響が詳細に描かれています。以下、心理学的な視点から解析を行います。


1. 感覚過敏と安心の場の制限

冒頭で描かれる「よその家の匂い」「食器の味」「車酔い」などのエピソードは、感覚過敏や高い感受性を示唆しています。こうした特徴は、環境の変化に対するストレス耐性が低い可能性を暗示しています。また、「家の中以外安心な場所がない子どもだった」という描写は、環境や関係性の不安定さが、幼少期のマディの基本的な心理状態に影響を与えていたと考えられます。


2. 家出の夜のトラウマ

母親の突然の行動(夜中に起こされて知らない家に連れて行かれる)は、子どもにとっては深刻な不安と混乱を引き起こします。このエピソードは、**「予測不能な親の行動」**が子どもに与える影響の典型例と言えます。
マディの「大泣き」という行動は、彼女が安全基地を奪われたと感じたことを示しており、これが後年の家族関係や信頼感の欠如に繋がった可能性があります。


3. 幼少期からの過剰な責任感

マディは「親の負担ではなくなること」を目標にし、18歳で家を出て独立しています。こうした責任感の強さは、幼少期から過剰に期待されていた役割(家族の世話や母親のサポート)によるものと考えられます。これを心理学的には「親役割を担わされた子ども(parentification)」と呼びます。これにより、子どもらしい自由や依存の感覚が十分に育たず、大人になっても罪悪感や負担感に苦しむことがあります。


4. 家族内の役割と不平等

マディと妹の生活の対比は、家族内の役割の偏りを象徴しています。マディは「自立的で責任を担う存在」として見られ、一方で妹は「守られるべき存在」として扱われています。この非対称性は、**「兄弟間の役割差と競争」**に関する心理的な問題を浮き彫りにしています。

  • 妹との溝:妹からの「ママを捨てた」という言葉は、マディにとって深い傷となっています。この言葉は妹の不満や嫉妬を反映していますが、一方でマディには自分の選択に対する罪悪感を強化させる結果を招いています。
  • 母親との関係:母親はマディに経済的な援助を求めたり、実家の役割を担うよう期待していますが、マディはそれを拒否しています。この対立は、母親がマディの自立を「愛情の欠如」として誤解している可能性を示唆します。

5. 家族の死と喪失の影響

弟の死とその後の妹の自殺未遂は、家族が抱える未解決の心理的問題が、深刻な形で表面化した例と言えます。

  • 弟の死:マディは弟と8年間会わなかったことで、弟との関係に未完の感覚を抱えています。この「未完の関係」は、喪失体験において強い後悔や自己責任感を伴うことが多いです。
  • 妹の自殺未遂:妹を引き取った際、マディは「無条件の愛」を与えるべきだと考えています。この行動は、自分自身が満たされなかった愛情を妹に与えようとする補償行為と見ることができます。

6. 経済的独立と自己犠牲

マディは自立のために過酷な努力を重ねており、それが彼女の人生の大きなテーマとなっています。しかし、「母親からの借金の督促」や「家族の期待」により、自立が完全に達成されないというフラストレーションを抱えています。

  • 罪悪感のジレンマ:経済的援助をしないことで「親を捨てた」と感じつつも、自分の人生を守るために距離を置く選択をしています。この矛盾した感情が、長期間にわたる心理的負担となっています。

7. 解決への道筋

最後に、マディが家族の問題を「考えるのを辞めた」というのは、防衛機制の一種である「抑圧」と解釈できます。しかし、根本的な問題が解決されていないため、心の中では未解決のままの傷が残っています。


心理学的アプローチの提案

このような状況に対して、以下のアプローチが有効と思われます:

  1. トラウマの再処理:EMDRやセラピーを通じて、幼少期の不安や母親との関係に伴うトラウマを解消する。
  2. 罪悪感の再評価:罪悪感の根本原因を探り、自分の行動がどれだけ正当化できるかを専門家と話し合う。
  3. 家族との境界線の設定:心理療法を通じて、家族との健全な距離感を築き、依存的な関係を避ける。
  4. 自己価値の再構築:マディが自分の努力と成功を肯定し、自分の人生に満足を見出すための支援を行う。

この物語は、家族関係の重荷を背負った一人の女性の生き方が描かれており、成長と解放を求める心理的な旅がテーマとなっています。

バニーの解説

物語本文

https://storytelliingschema.blogspot.com/2022/10/blog-post_7.html 

この物語は、心理学的に多くのテーマを含んでおり、特に「条件付きの愛」、「自己価値の探索」、「本来の自己の回復」という側面が目立ちます。以下に詳しく解析します:


1. 条件付きの愛と親の期待

ママバニーの振る舞いから、彼女が「じっとして本を読んでいる子」を好む理由が明示されています。ママバニーの「まぁ、大変!」や「バカみたい」といった言葉は、バニーの行動を否定し、親が望む子ども像に沿わせるためのコントロール的な態度を示唆します。このような親の期待は「条件付きの愛」の典型例です。つまり、「○○であれば愛される」「○○でなければ認められない」という感覚を子どもに与える要因です。

バニーは「本を読んでいるとママが幸せ」という結論を得て、自分の本来の欲求(草原で跳ね回ったり踊ったり)を抑えています。これは、子どもが自己のニーズを後回しにし、親の愛情を得るために自己を抑圧するプロセスを描いています。


2. 自己価値と他者評価のギャップ

物語の中盤で、バニーがさまざまな分野で成果を上げる場面があります。しかし、どんなに称賛されても、バニー自身は「嬉しくない」と感じています。この「嬉しくない」という感覚は、自己価値を外的な評価(他者の称賛や成果)に依存しているときに起こりがちな心理です。

この状況は「内発的動機づけ(自分が本当にやりたいからやる)」ではなく、「外発的動機づけ(他人に認められるためにやる)」によって動いているために起こる心理的な空虚感を象徴しています。


3. 自己の回復と自由の発見

後半で、バニーが自分の本来の欲求に従い行動を始める場面(草原で跳ねる、歌う、泳ぐ、踊る)が描かれています。この段階で、バニーは「何も起こらない」ことに気づきます。この気づきは、過去に感じていた「親の期待を満たさなければ何か悪いことが起こる」という無意識的な恐れが、実際には現実に基づいていないことを認識する重要な瞬間です。

自分が「うさぎなのだから跳ねるのは当然」と理解し、行動することで、バニーは自己の本質に立ち返ります。このプロセスは「自己実現」や「条件付きの愛からの解放」を象徴しており、人が自己を取り戻す際の心理的変化を見事に描いています。


4. アイデンティティの確立

最終的に、バニーは「バニーはバニー」という結論に至ります。このシンプルな結論は、「自分は存在そのもので十分である」というアイデンティティの確立を示唆しています。これは、カール・ロジャースの「無条件の肯定的関心」に関連し、「自分がありのままで愛される存在である」という感覚を取り戻すことを意味します。


5. 挿絵と母親の後ろ姿

物語の中で頻繁に挿入される「ママバニーの後ろ姿」は、親の「見えない愛」や、子どもに背を向けた状態を象徴しているようにも感じられます。これは親が自身の期待を優先するあまり、子どもの本当の気持ちに目を向けられていないことを暗示しているようです。


結論

この物語は、親の期待による自己抑圧と、それを乗り越えて本来の自分を取り戻すプロセスを優しく、かつ深く描いています。心理的なメッセージとしては次のような問いが浮かび上がります:

  • あなたの行動は誰のためのものですか?
  • あなたが本当に望むことは何ですか?
  • あなたの存在そのものに価値があることを信じていますか?

バニーが本を閉じ、自分の足で跳ね回るようになった瞬間は、「自由」と「本来の自己」の象徴であり、読む人に深い気づきを与える作品となっています。

2025年2月3日月曜日

【自己理解】佳織を選んだ3人の子供たちと猫のマイケル

 これは天国でのことじゃ。

雲の上から神様が地上を見ていると、

「寂しいよう、寂しいよう」と言って泣いているきれいな女の人が見えた。

そこで、神様は、その女の人のところに、子供を送ってやることにした。そこで、天使たちに募集をかけた。

「寂しいと言っているきれいな女の人のところに生まれる子募集」

すると、そこに、玲奈、葵、美玖の3人が集まった。

神様:「いいのか、お前ら。この家はけっこうタフだぞ。まず、父親は数年でいなくなる設定だ。物質的にもこの時代の基準にしては最低限すれすれのところだ。しかも、母親は結構手ごわいぞ」

玲奈:「私、前の回で、けっこうのんびりしたから、今回はスリルがあるほうがいいかも?」

葵:「僕は、この人の気づきのカルマを背負うことにしようかな」

美玖: 「え?じゃあ、私が今度は駄々っ子役? 上手くやれるかなぁ…」

神様: 「はいはい、じゃ三人でジャンケンして…。生まれる順番を決めてください」

みんな:「はーい」。

ということで、玲奈、葵、美玖は、母親の佳織の元に生まれることになった。

生まれてからは、すっかり、天国で、このゲームを選んだことをすっかり忘れて、みんなゲームに夢中になって、「寂しがりっこの佳織を救え!」ゲームを楽しんだ。

しかし、結局、佳織は、子供たちを選ばず、猫のマイケルと晩年を過ごすことにした。つまり、佳織の負けだ。いや、佳織の勝ちなのか?

その後、天国で、玲奈、葵、美玖の三人は神様に報告することになった。

神様: 「どうじゃったか?楽しめたか?」

玲奈:「いや神様、佳織さんの強情っぷりったらありゃしない。アレは、さしもの私でも無理でした」

葵:「僕なんて、24歳で死ぬ役だったんだよ?もっと遊びたかったなぁ」

美玖:「私も自殺未遂する役だったし!玲奈だけ、いい役取ってずるいよ」

神様:「まぁまぁ。それぞれ、十分楽しんだってことかな」

みんな:「はあ~い」


ところで、神様は、佳織にも「個人面談」をした。

神様:「佳織、どうだね、今回の主演についての感想は?」

佳織:「いやですわ、神様。そんなことを私に聞くなんて。分かっていらっしゃるでしょう?」

神様:「うむ。なかなか迫真に迫る演技じゃったよ」

佳織:「そう言っていただけて光栄です。それで報酬は?」

神様:「そうだの…。玲奈にはお前の演技でだいぶ前進したようだったから、100万切符。葵は、お前、切符をもらう気かね?逆に払ったほうがいいんじゃないかい?まぁ、今回は見逃すとして。美玖の分は、50万切符程度じゃの。玲奈に力掛け過ぎて、あとで手抜きしよったからの」

佳織:「あ、やっぱりバレてました?」

神様:「そりゃそうじゃろ。ワシにはぐるっと全部お見通しじゃよ」

佳織:「150万切符かぁ…もうちょっと何とかなりません?あと50万切符あれば、ステージ上がれるんですぅ」

神様:「だめじゃよ。葵の分でだいぶオマケしているからの」

というわけで、佳織はステージアップは失敗した。けれど迫真に迫る演技で、神様に褒められましたとさ。

オマケ。

神様:「マイケル、お前はよくやったの」

マイケル:「いや、もう佳織さんのめんどくさいの、なんのって!あれは人間じゃ務まりませんよ」

神様:「そうじゃの。お前はよくやったんで、ステージアップボーナスをやろうかの」

マイケル:「うわ!やった~!じゃ、次回は人間の役をもらえるってわけですか?でも神様、なんで佳織さんはいつも人間役なんです?正直あれなら、ウサギとかカワウソに生まれたほうが幸せなんでは…」

神様:「いやね、佳織はホッキョクグマをもうやったからね。ハリネズミで失敗したからの、ちょうどいい距離ってのが課題なのさ」

おしまい。

■ ChatGPTによる要約

  • 自己決定と責任: 登場人物たちは、困難な役割を「自分で選んだ」と語っています。これは、自分の人生の課題を主体的に受け入れる態度を反映しています。
  • 失敗の再定義: 佳織の「ステージアップ失敗」や玲奈たちの「役割」への愚痴も含め、失敗や未達成をユーモアとともに描き、成長の一環として捉えています。
  • 人間関係の距離感: 「ハリネズミで失敗した」という一文は、人間関係の距離感の調整が課題であることを暗示しており、これは心理学的には「ハリネズミのジレンマ」として知られるテーマです。

まとめ

この物語は、人生の困難や人間関係の課題を「成長」や「学び」の一環として捉え、俯瞰的に見る視点を提供しています。ユーモアを交えた軽やかな表現で、自己受容や他者理解、そして人生の意味に対する深いメッセージを伝えています。


【アダプティッドチャイルド】颯太はティーチャーズペット

ぼくの戦略  

小学5年生の颯太(そうた)は、クラスで「優等生」として知られていた。先生からの信頼も厚く、どの授業でもきちんと手を挙げて発表するし、先生に頼まれた仕事はいつも率先して引き受ける。  

でも、颯太の優等生っぷりには、実はいろいろな理由があった。  

颯太は、HSPで、実は学校が好きではなかった。むしろ、毎朝家を出るときに胃がキリキリ痛むほどだった。1年生の時の女性の先生は、ルールに厳しく、爪が少しでも長いと爪切りを無理強いした。颯太の指には血がにじんだ。冬のセーターは着せてもらえなかった。そして、通学の途中の犬には追いかけられた。

そして、クラスにはスクールカーストがあって、内向的な颯太には、居場所がなかった。颯太はいつも絵を描いたり、本を読んだりして過ごしていた。

だけど、颯太にはある「戦略」があった。

それは、「先生の味方になる」ことだ。  

先生の信頼を得て、クラスで「役に立つ子」としてのポジションを確保すれば、誰も自分には手を出しにくくなるだろう。

実際、先生が颯太を褒めた後は、誰もそれ以上何も言ってこない。だから颯太は、どんな日でも、朝は早く出て、教室の窓を開け、黒板をきれいにはたき、職員室に出かけて、「先生、今日は何か朝礼で連絡することはありますか?」と先生に朝の挨拶をするようにしていた。  

ある日、颯太は算数の係に立候補した。すると、その様子を見ていた沙織が、ぼそっとつぶやいた。  

「算数を得意になる作戦?」  

颯太は、そうそう!と思った。以心伝心で、腹心の友ができたような気がした。沙織、なんでわかったの?と思い、驚いて言葉が出ない。沙織の顔を見ると、特に意地悪な表情ではなかった。ここに友達がいたのか。  

「…そう。」颯太は、やっと小さな声で答えた。ちょっと恥ずかしがりながら、

「係りをやると、教える側になれるから。」  

沙織は少し首をかしげた後、「ふーん」とだけ言った。

沙織は、颯太より少し成績がいい。沙織の父親は、公認会計士だった。母親は専業主婦で、沙織はいつも楽しそうに塾に通っていた。颯太は、そんな沙織がちょっとうらやましかった。

その日の夜、颯太は布団の中で考えた。自分は本当に「勉強したい」と思っているのだろうか?

それとも、ただ居場所が作りたくて、先生のお気に入りをやっているのか? 

まぁ、どっちでもいいさ… 俺、今、子供なんだし、成績なんて、悪いよりいいほうがいいに決まってるだろ。 

次の日、算数のクラスで、颯太は、いつものように手を挙げ、先生の話を熱心に聞いていた。

すると、先生が、ふと思いついたように

「颯太、沙織、二人で、この黒板に半分づつ解を書いてごらん」

と言った。

沙織と颯太、二人で、板書する。そして、それぞれがプレゼンテーションすることになった。沙織の解は短く、颯太の解は、黒板が足りないほど長かった。

「どうだい、みんな。人それぞれ、考え方っていうのは違うんだよ。でも、どっちも同じ正解にたどり着くだろ?」

先生は沙織と颯太の二人に、「よくできました」と言って、うれしそうな目をしていた。

なんだか、颯太は、誰かの役に立っているんだ、という気がした。沙織には、やっぱりちょっと負けているみたいなんだけど。

そして、颯太の「戦略」はまだ続いている。

何かを得意になりたかったら、「助ける側」に立つこと。

でも、心の中では、少しずつ自分自身で立つための「次の戦略」を考え始めているのかもしれない。

「先生のお気に入り」にならなくても、誰かの役に立つ、方法を。

■ ChatGPTによる解析結果

心理学的解析(要約)

  1. HSPの特性
    颯太は敏感な性格ゆえに学校生活で強いストレスを感じており、それが「防衛的戦略」を生み出している。

  2. 「ティーチャーズペット」と防衛機制
    先生の信頼を得ることで、安全と承認を確保しようとしている行動は、補償行為の一例。

  3. 居場所の必要性
    スクールカーストで孤立しがちな颯太は、「役割」を通じて承認欲求を満たしている。

  4. 自己認識のきっかけ
    沙織とのやりとりが、颯太に自分の動機について考えさせ、自己認識を促している。

  5. 内発的動機への移行
    最初は外発的動機で行動していたが、次第に内発的動機(自己成長や役立ちたい思い)に変化している。

  6. 成長のきっかけ
    先生の課題が、社会的比較を通じて自己効力感と異なる強みへの気づきを促している。

  7. 次の戦略と自己実現
    外的承認に頼らず、自分の価値を見つけようとする姿勢が、自己実現への成長を示している。


この物語は、敏感な子どもが承認欲求と自己成長の間で模索し、自己実現へと進む過程を描いています。

ママの家出とマディのその後

 12人目)ママの家出 


2022年5月6日


マディは、よその家の匂いに耐えられない。よその家の食器も、変な匂いがしたし、化学的な味がするというので、加工食品も苦手だった。雨が降るより前に、頭は痛くなるし、車に乗ると、5分で酔ってしまう。家の中以外、安心な場所がない子どもだった。


そんなマディがある日の夜、夜中にママに起こされた。「着替えて、マディ」


どこへ行くのかな…また、ドライブかな…と、マディはしぶしぶ服を着た。そのあと、車に乗ったら、寝てしまって、気がついたら、知らない人の家にいた。


別の部屋で、ママが誰かと話し合っている様子が、半開きのふすま越しに見えた。とても難しい問題を話し合っているみたいだ。髪の長い女の人がママと話し合っていた。


「あ、子どもが起きてる」


マディが起きていることを見つけた女の人は、しぃーという感じにママに目配せをした。


マディは、起きたとたんに、大泣きに、泣き始めた。知らない人の家にいたからだ。


そのあと、ママはマディを何とか泣き止ませようとしたが、無駄だった。マディのほうでも、なんでそんなに泣いているのか、分からない、という感じだった。


髪の長い女の人が、だから言った通りでしょ、という感じで、ママに帰るように促した。そして、ママはしぶしぶ荷物をまとめて車に乗った。


マディは車の中で高速道路のオレンジ色の光を見ていた。次に気が付いたときは、もう朝だった。


そのあと、ずいぶん長い年月がたって、マディは、あの夜は何だったんだろう…と考える。


ずいぶん後になって、あれは、お母さんの家出だったのではないかと推測するに至った。


しかし、そうなると、母は一度、マディだけを連れて、他の兄弟を捨てたということになる。


そのことはマディは自分の胸に仕舞っておき、長い間、誰にも話していない。どうしてママは、あの日、家を出たのか、今となっては知りようもない。それに、そのあと、子どもたちを愛さなかったということでもないだろう。


あの夜、マディが泣かなければ、もしかして、ママはそのまま、家出していたのだろうか?

そんなのいやだ、とマディは思う。


マディは、早く大きくなろうと思った。早く大きくなって、親の負担ではなくなること。これが、初期のマディの人生の目標だった。


それで、実際、18歳で家を出た。できるだけ早く、経済的自立を果たすことが、マディが心に決めた親孝行だった。


ママは、マディが働いて弟や妹の進学や生活を助けることを期待していたようだったけれど、マディには、それはいやだった。


長い間、マディは、経済的な仕送りをしないことで、親を捨てたという思いに苦しめられた。妹には、なんでお姉ちゃんは人に甘えないの、となじられた。その上、ママを捨てた、と言われた。


でも、マディができるベストは、高校時代、朝6時から学校に出るまでの間、働いて、自分の受験費用を捻出し、自分の昼ご飯代を出すということだった。受験勉強は家に帰るとできないので、夜12時くらいまで友達の家にいてやっていた。家に帰るのは、皆が寝静まってからだ。


マディは、自分で大学を選んで奨学金を申請し、自分の受験費用を自分で出し、大学進学の費用を出し、一人で受験し、受験したその日にバイトを決め、自分で学生寮を見つけてきて、そこへ引っ越した。マディの人生のスタートは、段ボール3個でしかなかった。


妹は、私学の高校へ通って、友達の誕生日プレゼント代が3000円ではなく、1000円しか与えられないことが不満だという学生時代を送った。マディは、自分で自分の受験費用を出しているような年齢のときにだ。マディが妹の年齢の時には、家族全員の食事を作る役目だった。妹がその役をしたことは、少なくともマディが家にいるときには一度もなかった。マディは、妹の手料理を食べたことがない。


そんな調子だったので、結局のところ、何を普通と考えるか?という基準が、かけ離れすぎていて、マディは妹とは分かり合えない、と思っていた。


それにママにもだ。マディがどうしてもわからないことは、なぜ、マディが実家の生活を見るのが、当然のことだ、と母が考えるのか?ってことだった。


母親はマディの自立を喜ばず、マディの学生寮まで追いかけてきた。


結局、考えても分からないので、マディは考えるのを辞めた。


しかし、進学した後も、マディの学生寮には、母が借りた分のサラ金の督促が来る。マディは、電話自体を避けるようになった。都合が悪いことに学生寮だと館内アナウンスで呼び出されてしまう。


呼び出し電話は、大抵は、見知らぬ男からの督促の電話で、「お母さんがどうなってもいいのですね」と脅される。実家の経済状況がさらに悪化しているのだろうということが、推測できた。そうした電話は、必ず忘れたころにかかってきて、実家を助けろ、という声なき声になった。


が、一方では、このような街金につかまっては、骨の髄まで搾り取られるだけなのではないかと思えた。そうでなくても、マディの収入は、世間の一般より低く、自分一人で精いっぱいなのに。その頃、マディと同年齢の人たちは、まだ親のすねをかじっているころだった。


そうこうしている間に、マディは海外へ行くことになったので、住所を変更することができた。帰国したら、誰も督促の電話を掛けることができないはずだった。それでマディの心はだいぶ穏やかになった。その後、就職してマディは長屋の暮らしを辞め、普通のアパートで暮せるようになった。


その頃、突然、弟の訃報が入った。突然死だということだった。マディは、18歳で家を出てから、8年間、弟に会っていなかった。マディは夜学に進んだため、5年も大学を出るのにかかったし、その上、2年海外で働いていたので、トータルでは7年だった。だから、まだ勤めだして1年で、やっとこれから、少し生活が楽になるというところだった。


遺体になった弟は、マディが覚えている16歳の少年の姿ではなく、24歳の大柄な男性だった。飲んで帰って横になり、そのまま朝には冷たくなっていたそうだった。ただ朝を迎えるだけで本当に命とはありがたいものなのだ、とマディは思った。弟には、3人も彼女がおり、弟が残した靴の数は、150足だった。母は300人の盛大なお葬式を行った。


そのあと、妹が自殺未遂した。半狂乱になった母親から電話があった。それで、マディが妹を引き取ることになった。まだ、マディが、新しいアパートに引っ越してすぐのころだったから、妹は、マディの長屋での貧しい暮らしを見ていない。


妹はマディの会社用の靴を勝手に履いては、マディの足よりも大きくして足に合わなくしてしまうし、マディの服を勝手に着るし、家の中にいて、そのまま何もしないで生活しても、マディに悪いとは思わないようだった。マディのほうでも、自殺未遂だということだったので、そっとしておき、当然、何も言わなかった。妹が必要なのは無条件の愛だったからだ。マディは理解していた。しばらくして、妹がやっと出ていくということになり、マディは、お見舞い金を包んだ。


それで、マディが妹を見た最後だった。弟を見た最後は、遺体だった。


マディが妹からもらったのは、「お姉ちゃんはママを捨てた」という呪いの言葉だけだった。


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本の目的: 妹から掛けられた呪いの言葉を捨てるため


幼児決断: 家に帰りたい

出来たスキーマ: 血縁が何より大事

健全な大人の考え:  家族であっても、助けるべきでないときもある

メンタルブロック: 家族なら仕送りをするべき、愛する者からひどい仕打ちを受ける

昇華: 人を助けるには自分が、まずは救われていなくてはならない


解説はこちら https://storytelliingschema.blogspot.com/2025/02/blog-post_96.html

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